2024/02/08 14:08
ーー唸るほど材料がある中、選んでは決めることを繰り返す。途方も無い作業だが、ひとつひとつ具体にしていく。夢から覚めるように、言葉を使って私を起こす。まずは頭の中にあるものを書き起こす。はじめはなんだこれ、本になるのかよ、という散文だった。だがイメージは湧いてくる。熱量かもしれない。本にしたい。それだけだった。今まで三十年間生きてきた中で、淡々とした作業を続ければ、いつかできるようになっていた。だから、これもいつか辿り着くはずだ。自分を信じよう。私の熱で物語を描いたあと、読めるように整える編集作業に移る。誰かに頼りたい気持ちになるが、そんな贅沢言ってられない。主観に捉われるので、HPを使って人の目に、まだ服を着ていない状態で赤裸々に晒す。インスタで現地で撮影した写真とイラレを使って、惹きつける。すると、自分の目も客観になってくる。主観から客観になるというよりは、主観と客観の二つの目を持つ。著者と編集者のやっているキャッチボールを1人でする。そうして、これ以上はこの場所では書けないと思った時、本にすることを決めた。出版社に頼むのもいいが、物質になるためにはそこから最低でも1年間はかかる。私にとって、この本は出産だった。赤子を子宮に抱え、自分の血肉で育て、もう、でるーー!破水!って時に、「あと1年待ってください。」って他人から言われても・・・ーーー
物語を本にすると決めた時、1年と数ヶ月が経っていた。カレンダーを見ながら締め切りを自分で決める。ふと、1月28日が目に飛び込んだ。「逸話」の日。辞書で調べてみると「世間にあまり知られていない、興味のある話。エピソード。」とあった。
つづく