2024/02/06 08:55


イベントに行ってきました。2月3日に福岡市西新プラザで行われた「山から考える日本の自然と仕事」主催は九州大学の古川不可知さん。登壇者は雲の平山荘の伊藤二朗さんと、YAMAPの春山慶彦さん。大学の授業の一環だったらしく、無料で聞くことができました。


実際にお会いしたことはありませんでしたが、本はよく読んでいました。主催の古川さんは『「シェルパ」と道の人類学』という本を書いた方です。シェルパとはネパールの部族の名前ですが、エベレスト周辺のトレッキングガイドを示す名前でもあります。シェルパを取り巻く文化や、彼らがつくっている道のことを書いていました。著者自身が実際に現地に視察して記録し続けたものは、とにかく熱量があって。たくさん詰まっていたのでここでは書ききれません!!

ベルクソンを研究している米田さんと会を開いていたことをきっかけにこの本を知ったのかな。生物や時間や記憶、ロングトレイルや日本の道との比較にもなりました。






登壇された伊藤二朗さんは北アルプスにある雲ノ平山壮の二代目です。私は初代伊藤正一『黒部の山賊』を読んだことがあって、衝撃を受けた覚えがあります。1990年代生まれの私にとって山登りは趣味のようなもの。街で会社勤めをしている人が休日に行く場所です。その歴史を遡ると、黒部の山賊たちがいました。戦後間も無い動乱の時代に道を切り拓くことは、私のように娯楽で歩いていることとは真逆の世界だったに違いない。


今回、伊藤さんの話を聞いて、間接的にその香りがしました。社会全体の問題として山の未来を捉えていて、動乱をしかとこの目でみようとしている。すでに動乱の中に私たちはいるのかもしれませんが、その中でも地に足をつけて前を向いていました。自然と社会を分けて考えている人が多い中、自然の一部分に社会があるというのは、野生育ちの私からすると大共感でした。パワーポイントの最後は「愛するということ」という言葉で〆ていました。エーリッヒ・フロムを引用するなんて、、、、一発で心撃ち抜かれました!!!!。害獣にならないよう気をつけます!




それでいうと、YAMAPは私に文化的な山を教えてくれたアプリでもあります。アプリですけど、私にとっては本みたいなものです。今回、このイベントを知ったのは友人の和田さんの紹介ですが、なんと立ち上げた当時の春山さんと面識があったそうで、「本を渡すといいよ」と言ってアポを取ってくれました。もう、ど緊張ですよね。この会社のおかげで、私は山に行く楽しさを知って、ついにはアメリカまで行って、本書けたのですから!


大学生が多かったのもあって、起業話はエネルギーをもらいました。二十代初めは民間の企業って詐欺みたいだと思っていました。媚や破壊や騙し。裏にいくと愚痴が聞こえる。そんなのできないって思ってました。でも、そうじゃなくて。自分にとってたいせつなものをみつければいい。見つけたら、素直に「たいせつだ」って目を見て相手に言えばいい。単純だよって。これなら、私めっちゃできる!!って話を聞きながら叫びたくなりました笑。




「自分をなくす」ことを春山さんは言っていました。これは、大きなことを続ける時に当てはまる言葉だと思います。逆に、スタートを切る時は「ありのままの自分」からはじまったほうがいい。


「自分がない」ものを産んで育てるのは大変です。ないのに、あるって変な話じゃないですか。あるをたくさん続けた結果、自分がなくても稼働する。だから「自分をなくす」と人に言えることはすごいなと思いました。



すでに続けている人、あるいは私よりも距離が進んでいる人にとっては、このBLOGや本は青いかもしれません。人生で言うと、もう経過した出来事なので。例えば、ドラえもんの映画のように。あの頃は影響を受けていたけれど、今は違うものが必要でしょ。とすると、私がつくっているものは、私と同世代、あるいは少し下の世代に贈っている。つくるって、今か、未来のためなんですね〜。あぁ、深いわ〜。




関連

・古川不可知さんの本『「シェルパ」と道の人類学』

YAMAP 春山慶彦さんの記事

伊藤二郎さん 雲ノ平山荘HP 

・紹介いただいた和田さん。mokumoku 裸足や歩き方のこと